熱中症について 


笠松病院  岐阜県岐阜市中鶉3丁目11番地
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人間は、暑い時には、血管を拡げたり汗をたくさんかいたりして、体内の熱を外へ逃がし、体温を一定に調節しています。

しかし、調節の限度を越えて熱くなると、体内の水分や塩分バランスが崩れ、熱を外へ逃がすことができなくなります。そのため、体温が上昇してしまいます。脳へ流れる血液が減って、頭痛やめまいがおき、ひどくなると、けいれんや意識障害がおきて、死に至ることもあります。

熱中症が危険なのは、自分では『ちょっと体調が悪い』 『少し気持ちが悪い』程度と思っている間に症状が進んでしまうケースも多いからです。周囲の人の気遣いに『大丈夫』と答えたすぐ後に倒れてしまう場合もあるようです。
毎年被害が跡を絶たないのは、自分では気づきにくい、または『たいしたことはない』と感じてしまうことが多いからです。

熱中症では、予防が大切です。炎天下や暑い場所に長くいる間は、自分で気をつけるのはもちろん、周囲の人間同士で気をつけ合うことが何より大切です。暑い時には熱中症の兆個に注意し、おかしい場合には早めに休むことです。そして、万一の救急事態に備え、救急処置も知っているとよいでしょう。
 こんな症状に注意!!

頭痛・吐き気
立ちくらみ・めまい
こむら返り・筋肉痛
異常にたくさんの汗をかく。逆に汗が出ない
ぐったりする。体に力が入らない
体温が高い。顔面や皮膚が紅潮している
言葉がしゃべりにくい
けいれん
意識がぼおっとしている。意識がない


 熱中症は、ほぼ4つに分類されます


症状 主な原因と救急処置
熱失神 めまいがしたり、失神したりする 皮膚血管の拡張によって血圧が低下、脳血流が減少して起こります。顔面蒼白、呼吸回数の増加、唇のしびれなどもみられます。脈は速くて弱くなります。

涼しい場所で水分補給
涼しい場所に運び、衣服をゆるめて寝かせ、水分補給をすれば通常は回復します。足を高くし、手足を抹消から中心部に向けてマッサージするのも有効です。吐き気やおう吐などで水分補給が出来ない場合には病院に運び、点滴を受ける必要があります。
熱けいれん 暑い中での運動や作業中に起こりやすい、痛みを伴った筋肉のけいれん。脚や腹部の筋肉に発生しやすい。 汗をかくと、水分と一緒に塩分も失われるが、この熱けいれんは血液中の塩分が低くなり過ぎて起こる症状です。水分を補給しないで活動を続けたときはもちろん、水分だけを補給した時にも発生しやすい。

生理食塩水を補給
生理食塩水(0.9%)を補給すれば通常は回復します。
熱疲労 たくさんの汗をかき、皮膚は青白く、体温は正常かやや高め。
めまい、頭痛、吐き気、倦怠感を伴うことも多い。
体内の水分や塩分不足、いわゆる脱水症状によるもの。
死に至ることもある熱射病の前段階とも言われ、この段階での対処が重要となります。

涼しい場所で水分補給
涼しい場所に運び、衣服をゆるめて寝かせ、水分補給をすれば通常は回復します。足を高くし、手足を抹消から中心部に向けてマッサージするのも有効です。吐き気やおう吐などで水分補給が出来ない場合には病院に運び、点滴を受ける必要があります。
熱射病 汗をかいておらず、皮膚は赤く熱っぽく、体温は39℃を越えることが多い。
めまい、吐き気、頭痛のほか、意識障害、錯乱、昏睡、全身けいれんなどを伴うこともある。
水分や塩分の不足から体温調節機能が異常をきたした状態。そのままでは死に至ることもある。
極めて緊急に対処し、救急車を手配する必要がある。

体温の上昇のため中枢機能に異常をきたした状態です。意識障害が特徴で、頭痛、吐き気、めまいなどの前駆症状やショック状態などもみられます。また、全身臓器の血管が詰まって、脳・心・肺・肝・腎などの全身の臓器障害を合併することが多く、死亡率も高くなります。

体を冷やしながら、一刻も早く病院へ
死の危険のある緊急事態です。体を冷やしながら集中治療のできる病院へ一刻も早く運ぶ必要があります。いかに早く体温を下げて意識を回復させるかが予後を左右するので、現場での処置が重要です。
熱射病が疑われる場合には、直ちに冷却処置を開始しなければなりません。冷却は、皮膚を直接冷やすよりも、全身に水をかけたり、濡れタオルを当てて扇ぐ方が、気化熱による熱放散を促進させるので効率がよくなります。また、頸部、腋下(わきの下)、鼠径部(大腿部のつけ根)などの大きい血管を直接冷やす方法も効果的です。



 こんな場所は注意


高温多湿のところ
直射日光や照り返しが強いところ
風が弱いところ
熱源が近くにあるところ
屋外だけでなく、屋内でも注意が必要


 こんなかたは特に注意!!


乳幼児
高齢者
病中病後のかた、体調不良のかたかた
疲れがたまっている方、寝不足の方

 熱中症を予防するためには


 暑さを避けましょう
日中の屋外での作業や運動は、できるだけ控えましょう
テントを張る、日陰を歩く、帽子をかぶる、日傘をさすなど、直射日光を避けましょう
朝のうちに打ち水をしましょう
屋内では、扇風機やエアコンを上手に使いましょう
カーテンやすだれで直射日光を防ぎ、風通しをよくしましょう
短時間でも、車の中に子どもを置き去りにしてはいけません
直射日光を長い時間あたらない
木陰などを利用しましょう
水筒などを持ち歩きましょう
帽子をかぶりましょう
水分補給を充分にしましょう


 水分補給をしっかりと!!

汗をかくことは、体内の水分を出してしまうことです。水分を出したら(汗をかいたら)補給しましょう。
水分補給をしないと、体調が悪くなります。この悪くなった状態を ” 脱水 ” といいます。
この脱水した状態を熱中症です。
 汗をかくことは、水分とともに塩分も体外に出されてしまいます。水分補給の際には塩分をとることも必要です。補給するときは薄い塩水に糖分(砂糖)を混ぜて飲むと良いでしょう。また、スポーツドリンクなどは飲みやすく良いかと思います。
糖分をとることは、運動時のエネルギー補給にもなります。

喉が渇く前に、こまめに水分補給をしましょう
汗をかいたら、スポーツドリンクなどで塩分も補給しましょう
お酒やビールなどは、尿量が増えるので、水分補給にはなりません


 服装を工夫しましょう
汗を吸いやすく風通しの良い素材の服で、軽装をしましょう
黒色系の素材は熱を吸いやすいので、避けましょう
帽子や日傘を使いましょう


 ふだんから体調管理に気をつけましょう
寝不足を避けましょう
朝食はきちんと食べましょう
深酒や二日酔いを避けましょう


 さらに・・・
乳幼児や高齢者は熱中症にかかりやすく、本人は自覚症状がないことも多いので、周りの方が十分に気を使ってください。
節電の影響が懸念されますが、特に高齢者や乳児のいるご家庭では、室内ではエアコン、扇風機、うちわ等を上手に使い、涼しい環境で過ごしましょう。
心臓や、呼吸器に持病のある方や、体調不良の方も、十分に気をつけてください。
急に暑くなった日や、久しぶりに暑い所で活動した方は、体が慣れていないので、熱中症になりやすいといわれます。無理をしないようにしてください。


熱中症になったら

熱中症の疑いがあれば、早めに対応してください。特に重症の場合は、救急車を要請するだけでなく、救急車の到着前から、現場での素早い対応が必要です。

涼しい場所へ移動する
風通しのよい日陰や、できればエアコンが効いている室内など、涼しい場所へ移動してください。
頭を低くするようにして、寝かせてください。
服を脱がせて体を冷やす
衣服を脱がせて、うちわや扇風機などで扇ぎ、体から熱を逃がします。
首の後ろ、脇の下、足の付け根などに氷のうをあてて冷やす
重症の患者を救命できるかどうかは、いかに早く体温を下げることができるかにかかっています。
水分と塩分を補給する
冷たい水を飲ませます。
汗をかいている場合は、スポーツドリンクやごく薄い食塩水を飲ませます。
ただし、意識がぼおっとしていたり、けいれんを起こしていたり、自分で水を飲めないほど弱っている時は、至急、救急車を要請してください。