本格的な暑さがやってきました。涼しさを求めて、海やプールなどへ出かける機会も多くなり、水難事故に遭う危険も高くなってきました。事故が起きたらすぐに対応することが重要で、救急車が到着するまでの時間がとても大切です。
心肺蘇生法を知っていると、いざという時、人命救助に大変役に立ちます。

呼吸が停止してから「三分間」が勝負です!!

右表は人が急に倒れて「呼吸」や「心臓」が停止してから救命手当を開始するまでの時間経過と救命率の関係を表したものです。

呼吸が停止してから
1分後に人工呼吸を実施すると約97%が救命でき
2分後  90%
3分後  75%
4分後  50%
5分後  25%
10分後では救命できないことを示します。

救急車の到着を待っていては
            遅いのです!!
家族やあなたの大切な人が倒れた場合、可能性にかけてABCを行いましょう!!
目の前で人が倒れた場合、一刻も早く心肺蘇生法を実施しなければ、家族の尊い命は救命できません。
「救命手当」は決して難しいものではありません。簡単で誰でも出来ますので是非覚えてみてください。






落ち着いて、「意識状態」の確認!
パニック状態になってしまうのは当然ですが、ひと呼吸してまず、落ち着いてください。
肩をたたきながら、大きな声で「大丈夫ですか?」などと耳元で呼びかけます。
「目を開けたり」「表情がかわる」などせず、全く反応がない時は「意識なし」と判断してください。
また、身体を揺すったり、動かしたりしながら観察するのは良くありません。
助けを呼ぶ!と共に直ちに呼吸の確認を!!
意識がない場合はためらわずに周りの人に「誰か来て!!救急車をお願いします!!」と大声で助けを呼んで下さい。
呼吸の確認は、傷病者の口などに耳を近づけ呼吸音を確認したり、腹部に呼吸運動があるかどうかで判断します。
口内確認
呼吸がないと判断された場合は、すぐに口内の確認をし嘔吐物などによって気道がふさがれていないかどうか確認します。
もし、嘔吐物があったら、顔をゆっくり横に向けて、手指で喉の奥までしっかりかき出して下さい。
気道確保(A)
片方の手を前額部から前頭部にあて、もう一方の手指2本(人差し指と中指)で傷病者の下あごの先にひっかけるようにあて、額の手を押さえながら下顎先を引き上げ空気の通り道を確実に開放します。これが気道確保です。
気道確保を保ちながら、耳を傷病者の口・鼻に近づけて呼吸音を聞きながら空気の出入りを確認し、目で胸の上下運動をみます。
5秒間確認して呼吸をしていない場合は「呼吸なし」と判断して、直ちに人工呼吸に移ります。
人工呼吸(B)
一般的な人工呼吸の方法は、「マウスツーマウス」と呼ばれる方法です。
この方法は、気道確保を継続しながら、傷病者の鼻を手でつまんでふさぎ、傷病者の口を覆うように口を
あて息が漏れないようにゆっくり吹き込みます。一度に吹き込む息の量は約1リットル、吹き込む時間は約2秒間で、胸が膨らんでいるか観察しながら吹き込みます。連続して2回吹き込みます。
脈の確認
2回息を吹き込んだら、総頸動脈にて脈の確認して、心臓が動いているかどうか確認します。
脈拍が確認できない場合は、「心臓停止」と判断し心臓マッサージを開始してください。
脈拍が確認できた場合は、心臓が動いていますので人工呼吸のみを続けます。
心臓マッサージ(C)
心臓の位置を確認!!
手指2本をみぞおちの上端に置き、その横にもう一方の手を並べるように置きます。この位置が圧迫する所です。そこを両手を重ねて胸が約4〜5p沈む程度で、毎分80〜100回のペースで圧迫します。
呼吸と心臓の両方が停止している傷病者に対しては、人工呼吸と心臓マッサージを併用します。心臓マッサージ15回・人工呼吸2回を繰り返します。



               〜成人・幼児・乳児に対する心肺蘇生法の違い〜
成人(9歳〜) 小児(1〜8歳) 乳児(0〜1歳)
意識状態の確認 肩をたたき大声で呼びかける 肩をたたき大声で呼びかける 肩を揺する
傷病者の体勢 仰向け 仰向け 仰向け
気道確保 行う 行う 行う
呼吸のチェック 行う 行う 行う
人工呼吸方法 口対口 口対口または口対口鼻 口対口鼻
脈がある場合の
人工呼吸回数
毎分12回(5秒に1回) 毎分15回(4秒に1回) 毎分20回(3秒に1回)
脈の確認 頸動脈 頸動脈 上腕動脈
手の位置 胸骨下部 胸骨下部 胸骨下部
圧迫に使う手指 両手の手掌基部 片手の手掌基部 第2,3指の2本指
圧迫する深さ 3.5〜5.0p 2.5〜3.5p 1.5〜2.5p
マッサージ回数 毎分80〜100 毎分80〜100 毎分100〜120
心臓マッサージと人工呼吸回数の比率 15対2(一人法)
5対1(二人法)
5対1 5対1